現場に生きる 現場の胸アツ!ストーリー

絶え間なく電力を届けることを使命に 復旧の最前線に立つ男たち

未曾有の台風による災害の復旧

胸アツ!メンバー

※取材時の所属・役職を記載しています

  • トーエネック 浜北営業所
    配電工事グループ
    副課長 原田啓一
  • トーエネック 浜北営業所
    配電工事グループ
    作業長 山田達也
  • トーエネック 浜北営業所
    配電工事グループ
     福嶋虎太郎

胸アツ!ストーリー

「今まで自衛隊が災害復旧しているのをテレビで見て『すごいな』と思っていましたが、まさかこの会社に入って自分が同じような立場になるなんて思ってもみなかったです。こんな俺でも誰かの役に立てるんだって……。その喜びが俺にとっての原動力です」
そう語るのは、トーエネック浜北営業所の福嶋虎太郎だ。
平成30 年9 月30 日、中部電力管内では延べ約119 万1310 戸が停電し、地域は暗闇に沈んだ。「大型で強い」勢力の台風24 号が和歌山県田辺市付近に上陸したのである。太平洋側を中心に記録的な暴風となり、全国55 地点で観測史上一位を塗り替える最大瞬間風速を記録した。
市街地では至る所で街路樹が折れ歩道をふさぐ。突風で飛ばされた看板は地面にたたきつけられ、砕けたプラスチックの破片がそこらじゅうに飛び散った。風をさえぎるものがない海沿いのエリアでは、強風により複数の電柱がなぎ倒される。復旧作業はかなり難航することになった。
翌31 日朝、福嶋は携帯に大量の着信履歴が入っていることに気付き、愕然(がくぜん)とした。
(これは、何かあったぞ……!)
大急ぎで支度して営業所に向かった。
浜北営業所には、緊急招集の連絡を受けて、メンバーが次々に事務所に駆け付けていた。
その中には、副課長の原田啓一、作業長の山田達也の姿もあった。
山田率いるチームのメンバーたちはすでに出動準備をほぼ終えており、福嶋が合流すると所内で打ち合わせをしてすぐに出発した。向かった先は天竜区にある公園である。
到着すると、現場は一瞬も油断できない状況だった。根っこからもがれた幹が電柱や電線によって地面にまで横倒しにならず止まっている。一見、バランスがとれているかのように思えるが、いつどのようなことが起きてもおかしくない。
復旧作業では、倒れている木の幹や枝を切り落とすのだが、これはバランスを崩しにいくのと同じことだ。何がどう動きだすかできる限り想定して作業に取り組むが油断はできない。周囲360 度に全神経を集中させながら作業は行なわれた。作業長は、メンバー一人ひとりの動きにまで気を配り、万一の事故が起きないように注意を払う。そして、互いに声を掛け合い作業を進めるのだが、緊張から次第に声は大きくなっていった。

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災害復旧の様子

山田は作業長として現場でこだわっていることがある。それは、仲間に絶対ケガをさせないことだ。こうした大規模災害時には、朝から晩までの作業が連日続く。疲労が蓄積して思いがけない事故に繫がることもある。
「皆それぞれ大切な人がいる。そんな僕たちを待ってくれている人たちの元へ全員笑顔で帰ること、それが現場監督である私の務めです」(山田)

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災害復旧の様子

その頃、営業所では、副課長を務める原田が、他の営業所からの応援要員の受け入れ態勢を整えるのに奔走していた。実に、トーエネック社内と協力会社だけで最終的に延べ4000 名近い人員が静岡で復旧にあたったのである。作業員らを次々と現場へ配備し、停電箇所を可及的速やかに復旧させなければならない。原田からは次々と指示が飛んだ。
「復旧は待ったなしですから、とにかく安全第一で作業を進めていくことになります」(原田)

こうした懸命な作業により、当初の想定以上の早いペースで復旧が進んだ。台風通過から6 日たった10 月6 日、エリア内のすべての停電が解消したと発表に至った。
最後に、山田は復旧作業を振り返りこんな言葉を漏らした。
「近隣にお住まいの方は大変な思いをしているのに、我々が現場に到着すると、パッと顔を明るくしたり、安堵(あんど)の表情を浮かべます。そんな顔を見たら連日の作業の疲れなんてふっ飛びます。疲れているはずの被災地の方から逆にパワーをもらうこともあります」