現場に生きる 現場の胸アツ!ストーリー

技術とともに人を育てる 「電工」種目のメダリストたち

競技としての電気工事「技能五輪」

胸アツ!メンバー

※取材時の所属・役職を記載しています

  • トーエネック静岡支店 営業部
    技術グループ
     金原周平
  • トーエネック 教育センター
    営業研修グループ
     清水貴央

胸アツ!ストーリー

2018(平成30)年11 月2 日から同5 日までの4 日間、沖縄県で「第56 回技能五輪全国大会」が開催された。最終日の表彰台、満面の笑みで金メダルを手にするトーエネック社員の姿があった。トーエネックの技能五輪選手、清水貴央だ。

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「電工」日本一のメダルを手にする清水

「技能五輪」とは、中央職業能力開発協会などが主催する、満23 歳以下の若手技能者だけに参加資格が与えられる競技会であり、年に1 回、各県持ち回りで開催される技能者の祭典である。大会は「金属系」、「電子技術系」、「機械系」などに分かれ、各種目の出場者は技能レベルの日本一を競う。

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技能五輪(電工)会場の様子

トーエネックは毎年、「電子技術系」に属する「電工」種目に選手を送り込んでおり、この年は6 名の社員が出場した。「電工は電気設備工事の略。正面1.8m×1.8mと側面1.8m×0.9mのベニヤ板の上に、与えられた図面に自分のオリジナリティを加えつ、制限時間内に、ビルや工場及び一般家庭に使われているのと同様な電気設備の作品を完成させるというものだ。「正確さ「美しさ」「独創性」この3 つを絶妙なバランスで表現できることが必要な競技なのだ。

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練習の様子

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五能五輪「電工」の完成作品

なお、全国大会に出場するためには、各県内で開催される予選大会で優秀な成績を収めることが条件だ。この第56 回大会に出場したトーエネックの6 名の社員は、いずれもよりすぐりのアスリートたちである。その一人、愛知県代表の清水貴央は、3 回目の出場で見事日本一に輝き、金メダルを獲得した。
このとき、監督を務めていたのが、金原周平(現・静岡支店 営業部 技術グループ)である。金原は、清水の10 年前、2009 年の第47 回技能五輪全国大会で金賞に輝いた人物である。引退した選手の多くは、別の部署に転属されたが、金原は、技術継承のために五輪チームにとどまり、後進の指導に当たることになった。

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表彰台に立つ金原(中央)

「自分がやるべきことは、自分の持っているテクニックを伝えることよりも、もっと大きなことだと思いました。その中でもっとも大切だと思ったのが、選手が大会に専念するための『環境づくり』でした。
例えば、本番に通じる緊張した場面をつくるために、『社内模擬大会』というのを年に4回ほどやっているんですが、本番さながらの雰囲気になるように、見学者を増やす工夫をしたり、そういう試みの一つとして、選手の家族を招待して模擬大会を実施してみました。これは、我ながらかなり良かったと思っています。家族に見られるというのはやはり、いつもと違った緊張感を味わえたんじゃないかと」(金原)
技能五輪全国大会で金賞を獲得した清水は、翌2019 年8 月にロシアで開催された第45回技能五輪国際大会にも出場した。トーエネックから国際大会に出場するのは、1997 年にスイスで開催された第34 回大会以来、22 年ぶりの快挙となった。

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国際大会に出た清水

とはいえ、国際大会への準備は平たんな道のりではない。英語の課題、国内では触れる機会の少ないシステムや、触ったことのない材料、限られた時間、周囲からのプレッシャー、超えなければならない壁はたくさんある。本番までのカウントダウンが進む中、金原と清水は毎日、新しい課題に挑戦しては試行錯誤を繰り返す毎日であった。特訓は寸暇を惜しんで続けられた。清水は現地へ立つ直前まで来る日も来る日も作業板に向かった。

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競技中の様子(写真は国際大会)

こうして世界の舞台に挑んだ清水の成績は6 位タイの敢闘賞。こうして清水の現役選手生活は終了した。現在はコーチとして後進の指導に当たっている。清水の国際大会の経験をうまく活かしていくことができれば、二連覇、三連覇も夢ではない。トーエネックでは、社内や現場のあちらこちらで、金原と清水のような技術のリレーが続けられている。
なぜ、選手や監督は挑戦し続けられるのか。金原は次のように語る。
「よく周りの方から『何で技能五輪に挑戦しているの?』と聞かれます。その問い掛けに選手たちは『強い精神力を養うため』とか『自分の技術力を上げるため』などと答えています。彼らの答えは間違いじゃないですが、私は、肝心なのはその先にあるものだと思います。
私たちが技術力を上げて良い仕事をするのは誰のためか? それは、お客さまに喜んでいただくためです。そこを忘れちゃいけないってことを、私も実は選手の頃に先輩から言われて、ハッと気付かされました。受け売りなんかじゃなく、大事なこととして、清水たちにもこのことを次の世代に伝えていってほしい。誰かのために何かに挑む人は、何もないところへがむしゃらに突き進む人より絶対、強いです」