平成26~令和6年度
この10年の動き

第5節情報システム化の推進・企業PR
1.全社のシステム化
オープンシステムへの移行
オープンシステムとは、業界の標準規格の機器、ソフトウェア、言語を使用したシステムで、特定のメーカーに依存しないため、柔軟性の高い開発が可能である。
平成30(2018)年から当社の業務システムをオープンシステムへ移行すべく、システム開発に取り組んだ。既存の業務システムは、ホスト(汎用計算機)やオフコン(エントリー用小型計算機)といった専用機上で稼働するものであったが、その運用はホスト・オフコン市場の縮小、プログラム言語が独自仕様で複雑であること、他社製品とのシステム連携が難しいこと、保守技術者の減少などさまざまな問題を抱えていた。
これを解決するため、30年に移行計画を決定した。令和4年10月には「資材調達システム」と「貯蔵品調達システム」、5年4月には「会計システム」の再開発を完了した。また同年に「資産管理システム」をはじめとする8システムの言語変換作業を行い、すべての社内システムはオープンシステムへと移行した。

業務支援系システムなどの開発
平成27(2015)年4月に「通信施工支援システム」を、28年7月に「概算積算システム」を新たに開発した。通信施工支援システムは、見積りから請負契約までのワークフローを支援し、決裁書や注文書の作成を適切なタイミングで行うことができるシステムであった。概算積算システムは、増加傾向にあったデザインビルド発注(基本計画時に施工業者を決定し発注する方式)に対応し、基本計画(詳細な設計図を作成する前に設計条件を整理すること)の段階で概算見積書を作成するものである。
令和元年、空調管本部が「新積算・実行予算システム」を開発した。これにより積算情報を自動で入力、集計できる機能に加え、実行予算システムと連携させることで、入力作業の大幅な削減と実行予算に関する決裁の電子化が可能となり、業務の効率化を図った。
2年3月、「電子決裁・申請システム」の運用を開始した。これは申請書や通知書を集配信し、決裁処理を行うシステムである。
3年に、竣工図書の一つ「絶縁抵抗測定試験成績書」の作成を自動で行うソフトウェアを開発した。このソフトウェアの導入により作業時間を約10分の1に削減でき、内線部門の現場への配布と活用を進めている。
同年、設計部署の効率化、生産性向上を目指す「内線設計業務支援ツール」を開発した。これまで、D&Dデータ(新築ビルディング電気設備データファイル)を用いて、施設用途ごとに各種原単位の中央値をまとめた負荷密度表を設計担当者が毎年作成していた。多くの時間がかかり、効率化が求められていた同ツールには負荷密度表作成機能、設計値決定機能、確認機能を持たせ、コメントやアドバイスを記入できるなど、使い勝手を重視した仕様とした。営業本部での試用では、負荷密度表の作成作業は従来の約7割、設計値の決定作業は従来の約5割の時間短縮となった。
4年3月には特注機器の査定支援システムを開発した。AIなどの技術を活用し、当社の過去の契約実績データを基に特注機器の妥当な査定金額を自動的に予測し、実績のグラフ化も行えるものである。
5年3月に電灯設備において、負荷容量集計表、分電盤リスト、電路計算書、変圧器計算書を自動作成する「Toenec BIM-Design Ver1.0」を開発した。BIMはコンピューター上に現実と同じ建物を再現し、3次元の形状情報のほか部屋の名称や面積、部材の性能など属性情報も併せ持つ建物情報モデルである。設計・施工・維持管理まで情報を一元管理でき、設計段階で情報を入力すれば、技術計算書作成や積算の業務効率化、自動化が期待できる。6年4月に営業本部でToenec BIM-Design Ver1.0の使用を開始し、設計変更があっても各種計算書の修正作業を効率化できるようになった。



配電現場系システムの段階的導入
平成27(2015)年3月より配電部門はタブレットの配備、運用を開始することとなった。当初の目的は施工写真提出時の作業効率化と、マニュアルの持ち運びやマニュアル更新作業の負担軽減のためである。
最初のシステムは、27年3月から運用を開始した「配電電子マニュアルシステム」である。まずは配電作業安全指針、配電作業マニュアル(安全作業の手引・標準作業の手引)、外線工事要領を実装し、今後マニュアルの種類を順次増やしていくこととした。
27年5月には「配電施工写真システム」の運用を開始した。これは写真整理のほか、配電工事計画システムと連携させ、支払種別と写真の紐付けを行うシステムである。
28年度よりタブレットによる自主検査を実施するため、28年4月に「配電自主検査システム」を導入した。施工不完全事故などを未然に防ぐために自主点検・自主検査の強化を図り、全社で統一した自主検査票を作成するシステムである。
29年10月、「配電確認票システム」を導入した。これはヒューマンエラーによる確認票に起因する施工不完全事故をなくすために開発された。タブレットを活用し、工程や順序を逸脱した操作の統制、実施時間の表示による牽制といったシステム統制を行う。これに伴って紙の確認票の使用を禁止し、作業の効率化や標準化、ペーパーレス化を図るものである。
29年11月には「電柱位置情報検索機能」の運用を開始した。これまで工事場所の特定は電柱配置図の帳票や図面、現場従事者などの土地勘といったものを基に行われてきた。そこで、中部電力株式会社より購入している電柱位置情報と、電柱番号から位置情報(緯度経度)をタブレットで検索するGoogle地図機能を利用したサービスを導入した。これによって工事場所の特定のほか、移動ルートの確認もタブレットで行えるようになり、作業時間短縮につながった。
中部電力の伝票電子化を令和2年度に控え、また現場管理者の負担軽減や時間外労働削減のため、平成31年1月には「配電現場調査システム」を導入した。これは、現場調査業務の効率化を図り、タブレットで伝票情報を閲覧、記入を行うことで、印刷や読み取り業務を削減させるものである。
令和3年4月に「配電施工管理システム」を導入し、配電工事計画システムや配電工事システムなどの関係するシステムも併せて改修を行った。配電施工管理システムは、配電工事計画システムのデータを基に、施工指示、施工報告、進捗状況の見える化、実績の集約と蓄積を行うものである。
2.企業イメージの向上
女優の足立梨花さんを起用した企業CM
当社では平成25(2013)年12月から女優の足立梨花さんを起用し、企業CMを放送してきた。
28年12月には「企業 知ってる? トーエネック」篇と題した新CMの放送を開始した。
令和2年1月には「つながるリレー」篇で、引き続いて足立梨花さんを起用した。


『現場に生きる-仕事への拘りと誇りを胸に-』を出版
令和2(2020)年2月、当社は創立75周年事業の一環として、書籍『現場に生きる-仕事への拘りと誇りを胸に-』を出版した。これは、当社の配電・内線・空調管・通信・海外事業・安全・技術研究開発・教育などを取り上げ、従業員が業務にあたる様子をミニドキュメンタリー形式で紹介する書籍であった。
3.陸上競技部の躍進
第63回全日本実業団対抗駅伝競走大会で陸上競技部が17位
第63回全日本実業団対抗駅伝競走大会(ニューイヤー駅伝2019)が平成31(2019)年1月1日に群馬県で開催された。当社陸上競技部は7年連続9回目の出場となり、前年の32位から大幅に順位を上げ、過去最高順位となる17位、4時間56分41秒でゴールした。

第105回日本選手権1500mで河村一輝選手が初優勝
令和3(2021)年6月に大阪府で開催された第105回日本陸上競技選手権大会(日本選手権)1500mで、当社陸上競技部の河村一輝選手が3分39秒18の記録で日本一に輝いた。
河村選手は、同シーズンのそれまでの各大会で5戦4勝と好調を維持し、優勝候補の一人として注目を集めていた。大きな期待とプレッシャーがかかるなかでの日本選手権初優勝であった。河村選手にとって日本選手権は大学時代を含めて6回目の出場であったが、念願の初優勝となった。

河村一輝選手が1500mで日本新記録を達成
日本選手権で初優勝した河村一輝選手は、令和3(2021)年7月に北海道で開催されたホクレンディスタンスチャレンジ1500mに出場し、3分35秒42で優勝した。当日は気温・湿度などのコンディションも良く、それまでの日本記録3分37秒05を更新する新記録となった。

マラソングランドチャンピオンシップに当社選手3人が出場
令和5(2023)年10月、パリ五輪のマラソン日本代表選考競技会であるマラソングランドチャンピオンシップが東京都で開催され、当社陸上競技部の河合代二選手、小山裕太選手、中西亮貴選手が出場した。
当日は大雨であったが、河合選手が2時間11分14秒で12位となるなど、各選手が力強い走りを見せた。
