創業からの70年 平成17~25年度
第7章苦難を乗り越えて

第4節技術・技能の推移
1.技術開発室の研究開発
技術開発室は、工事施工部門だけでは解決することが困難な技術課題やお客さまの抱える課題の解決に役立つ研究開発を行っており、企業や大学などと共同研究を行うことにより新規領域事業の開拓を視野に入れた長期的な研究課題にも積極的に取り組んでいた。
研究開発の方向性は次のとおりである。
- 電力技術
- 省エネルギー技術
- 環境技術
お客さまに電気設備を正常かつ安全に使用していただくため、電力の品質を守る技術の獲得および関連する機器開発
ビル・工場の省エネルギーについて、迅速かつ詳細な提案を行うソフトウェアおよび継続的な省エネルギー化をサポートするシステムの開発
お客さまの生産活動により発生する環境負荷の低減および労働衛生環境の改善を目指した研究開発
電力技術
TLDシステムのリニューアル
平成26(2014)年3月、TLDシステムの制御装置「地絡電流補償装置」を新型にリニューアルした。基本モデルとなる「4回路型」の他にバリエーションモデルとして「1回路型」を追加し、それぞれ26年度から提供を開始した。

省エネルギー技術
ホーム・ECO・ヘルパーの開発
平成17(2005)年3月、お客さまの光熱費などを入力し、太陽光発電、IHなど希望するリニューアル機器を選択すると、年間のエネルギー消費量、光熱費などを試算し、理解しやすいグラフを表示する提案用ソフトウェアとしてホーム・ECO・ヘルパーを開発した。
エネルギー遠隔監視システムの販売開始
平成17(2005)年4月、渡辺電機工業株式会社とエネルギー監視ユニットを共同開発し、「エネルギー遠隔監視システム」の名称でお客さまへの販売・サービスの提供を開始した。
電力計測に限らず、ガスや水などの使用量、温湿度など、エネルギー管理に必要な計測に幅広く対応し、必要なユニットのみを組み合わせてシステム化し、低コストで販売している。
MiELCAST(みえるキャスト)の販売開始
平成23(2011)年7月、中部電力、富士電機株式会社と共同開発した鋳造工場向けエネルギー利用最適化システム「MiELCAST(みえるキャスト)」の販売を開始した。
最適な操業スケジュールの作成、エネルギー使用状況の見える化、溶解設備のエネルギーロス抽出などを可能にし、鋳造工場の省エネルギー化に向けた継続的な取り組みをサポートするシステムである。
エアーコンプレッサ台数制御システム追加機能の開発
平成25(2013)年3月、既存の「エアーコンプレッサ台数制御システム」用に、設備の運用管理に役立つ3つの機能(吐出能力・空気漏れ量の計測機能、異常検知診断機能)を開発した。
複数台あるエアーコンプレッサの運転台数を必要な空気量に合わせて自動制御することにより、省エネルギー化を図るシステムで、営業本部エコソリューション部が開発した。17年より販売を行っていたが、25年11月に技術開発室の開発した新機能を搭載して製品をリニューアルし、「エアーマイスター」の名称で新たに販売を開始した。


環境技術
ハイブリッド脱臭装置「デオマイスター」の販売開始
平成24(2012)年11月、中部電力、神鋼アクテック株式会社および昭和セラミックス株式会社と共同開発した脱臭装置「デオマイスター」を販売開始した。
「ゼオライトハニカムフィルタ」と「光触媒セラミックスフィルタ」を組み合わせたハイブリッド脱臭方式により効果的な臭気除去を実現した装置である。
Eco-Vent ACAの販売開始
平成25(2013)年10月、学校給食センター向け省エネルギー洗浄システム「Eco-Vent ACA」の販売を開始した。
作業環境改善と空調負荷削減を同時に実現する洗浄システムで、技術開発室と営業本部エコソリューション部が株式会社AIHOと共同開発した。

2.トーエネック技術士会の発足
平成22(2010)年7月、技術力向上とアピールのため、技術士受験者のサポートを行う技術士会を発足した。第1回総会では、越智洋社長が会長に就任した。その後、技術に関する講演会を開催し、技術情報を共有するなど技術士のレベル維持向上を行っている。
技術士会のサポートもあり、毎年着実に合格者を輩出し、26年3月末現在の技術士は36人となった。

3.トーエネックテクニカルフェアの開催
平成24(2012)年11月19日、当社初の試みとして、教育センターで全部門横断型展示会「トーエネック テクニカルフェア2012」を開催した。同フェアは研究開発ならびに各部門の保有技術など、当社の事業全般にわたる技術・技能を披露し、技術力の向上と意欲の醸成を狙いとするものである。各部門の協力体制のもと、若手従業員によって企画・運営が進められた。
クリエイトホールでは、講演会、実物・パネル展示、体験コーナーなどを設置し、教育研究棟では全社技術研究発表会などを行った。配電部門による特殊工作車の展示・実演など、普段は触れる機会がない技術の見学や体験も行われ、当日の参加者は全社から約1,000人に及んだ。
翌25年11月5日、同フェア2013を開催した。今回は、社外のお客さまにも見学していただき、約2,000人に当社の技術・技能・研究開発などを紹介した。また、新たに各支店代表による柱間切分工法の全社大会を同時開催した。



